『西川町の昔話』 50・9・15 B6版 84頁
戸川安章先生を団長として、寒河江ダム建設に伴なって水波する西川町の月山沢、砂子関などの緊急民俗調査が行なわれた。清野久雄先生や大友義助氏も口承文芸についてすぐれたお仕事をしていられるが、特に願って私が担当させてもらった。さいわいにもすぐれた話者に多数出会った。工藤要氏、悪七きぬよ氏、工藤馨氏(私の義姉の父)などである。残念なことに調査の最終段階で知り合った語り手であったために十分聞くことができなかったが、月山沢でも砂子関でもいい体験をした。銀行員と間違われたこともなつかしく思い出す。「鮭の介」の伝承もあったし、大淀大明神の蛇の伝説なども聞くことが出来たし、土地の人から二十分もかかる沼に案内してもらったりしたことなど、思い出がつきない。江田奥村先生と行を共にし、調査だけでなく、人生のことまでいろいろお聞きできたことはうれしかった。ガリ版をいそいだのは、十月から移転をはじめるという話を聞いたからであった。