東北文教大学 附属図書館

『なら梨とり』 解題

『なら梨とり』 42・1・15 A5版 64頁

 昔話しに取り憑れた私は赤湯に住む生徒に話者をさがしてもらい話をきこうと考えていると、一緒にいきたいというので、鈴木光子、安部正子、根津悦子の諸君と出かけることにした。途中で吹雪に難渋したりしたが、すばらしい話者にお会いすることになって、夢中でテープを廻した。赤湯、宮内、沖郷が合併して南陽市になったばかりだったろうか。大橋集落の話の中で「佐兵ばなし」が出て、今迄にない分野の話だったので、その発掘に酔ったりした。また白竜湖を渡る横なぐりの風をうけながら、対岸の宮原地区に山崎さんをたずねて、「峰出世」をきいたのも忘れがたい。椚塚の佐藤宇之助さんからの「十分五分兄弟」などもなつかしい。かじかむ指先に息を吹きかけながら鉄筆をにぎったことも昨日のように思い出される。上野の高橋照太郎さんの「なら梨とり」「稲場の平次」なども、い亜族の応援もあって次々に語ってくれた冬の一日であった。