『行けざんざん』 51・9・10 B6版 60頁
久しぶりの夏、小国町大石沢の高橋しのぶ、川崎みさをの両嫗をお尋ねしようと考えた。確か百話クラスのお二人はお互いに遠慮なさって、お一人が語ると、あとは自分が知っていても語らない。この頃にようやく「山形県昔話草稿」のまとめに入っていたので、ともかく知っているものは全部出してもらおうと思ったのだったに違いない。久しぶりに伊佐領駅で降りて国鉄バスを待って、ようやくのり込むと、キリスト教独立学園の卒業生ものり合わせた。喰い入るように風景を見つめている姿は美しかった。高橋さん宅で、川崎さんともども、互いに思い出したものを語ってもらって楽しい一日であった。お二人にお会いしてから十年の歳月が流れたことを思って、帰りのバスは感無量だった。昼食後に川崎さんにつられて裏山にホウキ茸を採りに行き、茸とりのむずかしさにおどろいた。私に見える茸は食用でないものだけだったからである。