『お杉お玉』 小国町昔話集(一) 45・2・15 B6版 131頁
松谷みよ子さん、大川悦生さん、小河内芳子さんが来られるという連絡を県立図書館にいる川部敏男氏より受けて、案内というよりは同行させてもらうことで出かけた。冬の最中の小国町総合開発センターに泊めていただき、その晩は松谷大川氏の小公演を開き、次の日は、どうしても帰らねばならない松谷さんを送って、町の好意でのせてもらい、雪上車で津川地区の大石沢に高橋しのぶ、川崎みさをの両民宅に向った。たらふく昔話をきいて、その上泊めてもらったものである。この時に聞いた話と、前に奥村幸雄氏と同行して聞いたものを加えて整理した上、<小国町昔話集>を作ろうと企画してガリ版を切り出した第一冊目がこの本であった。現在昔話にもとっとも強い関心を抱いている児童文学者が、はるばる雪深い小国町に、しかも厳寒にやってきてくれたことはうれしいことであった。その人たちを迎えて、こちらで何の整理もしない手はないという気持もあって、早急にまとめたものでもあった。叶水から大石沢への道で、雪上車が雪の中にすっぽりうずまるといったハプニング、小倉では屋根の上からソリを滑る子供たちとの出会いなど、今にして思い起こすことである。あちこちで人をのせ、病人を町にはこぶことなど、雪国の苦労をつぶさに教えられた調査行でもあった。このガリ版が出来上ったとき、130頁にもなったのに、おどろきもし、うれしかった上に、松谷、大川、小河内の三氏から長い礼状の届いたこともうれしかった。昔話の掘り起こしの仕事が、地方でたった一人の仕事としてやっていた私にとってどんな意味を持つのかを自覚することにつながったように思い返される。以後、大石沢は毎年のように訪ねる場所の一つとなった。昔話で結ばれた大石沢との関係は今からも続くだろう。この巻には「津川の民俗」の分も収録してある。