令和7年度入学式 学長式辞
式 辞
おおらかな山形の大地が生き生きと躍動し始める、この春の良き日に、東北文教大学、東北文教大学短期大学部、そして東北文教大学留学生別科に入学された新入生の皆さん。御入学おめでとうございます。皆さんのご入学を心から歓迎します。そして、御家族の皆様にもお祝い申し上げます。きょうの良き日を心待ちにされていたことと存じます。また、お忙しい中、本日の入学式にご臨席を賜り、入学生を共に祝福してくださっているご来賓の方々に対し、教職員を代表し厚く御礼申し上げます。
さて、入学生の皆さん。今日、皆さんは、本学での学びの最初の扉を開き、未来へと続く道を歩み始めました。これから始まる学生としての学びの道を皆さんが、一歩一歩、力強く歩んでいかれることを、そして、その歩みを本学の卒業・修了という到達点まで進めて、それからの人生を力強く切り開いていかれることを願って、歩み始めたばかりの皆さんに、激励の言葉とアドバイスを贈りたいと思います。まず初めに、とりあげることは、入学したばかりのいまこの時、あらためて、大学で学ぶということの意味をしっかりと自覚しておくことの大切さについてです。
皆さんは、自分の将来について、それぞれに思いを持って、本学に入学されたと思います。自分はこういう職業に就きたい、そのために入学したというように、将来実現させたいことを具体的に思い描いている人もいるでしょうし、職業については、まだ漠然と思い描いている人もいるでしょう。そうした将来への目的意識や思いは、皆さんがこれから大学での学びの道を歩んでいくための支えとして大切であることは、あらためて言うまでもないことかもしれません。しかし、これから始まる皆さんの大学での学びを、本質的な意味で充実させたものにしていくために、少し言葉を変えて、お話をします。将来実現させたいことを具体的に思い描いている人も、そうではない人も、大学での学びが本質的に充実したものとなるには、どんな知識を自分は身に付けたいのか、どんな生き方を自分はしていきたいのかということを、しっかりと意識しながら学んでいくことが大切だということです。それは、自分の専門的な職業人への成長のみならず、人間としての成長をめざす学びを実践し、これからの自分の人生の確かな基礎を創りあげていくことにつながるからです。タイムパフォーマンスで、ものごとの効率を判断することがありますが、そうしたコスト意識で学びをとらえてはいけません。最短時間で、最小の努力で、めざす成果や答えを得ようという発想は、学ぶという行為を自分が成長するということとしてとらえていないからです。
東北文教大学は、人を学ぶ大学として、人を育てること、人とつながること、人を支えることなど、人間について学問し、実践する環境を用意しています。それらは、授業や実習など、学びを導いていくカリキュラムとして組み込まれているのです。皆さんには、これから始まる日々の授業や実習などでの体験に真摯にとりくんでほしいと思います。そして、その活動をとおして、初めて知ったことへの驚きや自分なりにわかった時の感動を味わってほしい。それが、学びそのものを楽しむということであり、うわべの言葉だけの知識を得るというのではない、自分が変わっていく、自分が成長していく、そういう学びになっていくのです。自分で自分の殻を破り、より大きな自分となる。そのように学ぶことで、大学での在学中に、確かな自分の基礎を創り上げてください。大学での学びは、与えられてするものではなく、自分が創るものなのです。 入学生の皆さんに向けて、次にお話したいことは、本学の基本的な教育理念である「敬愛信」についてです。いま、皆さんにお話した、大学での学びの根底をなす、本学の建学の精神です。
「敬愛信」の「敬」とは、尊敬するということです。リスペクトするということです。それは、人が高みに向かって、学び、前進する情熱を生み出す力です。「敬愛信」の「愛」は、愛するということ。それは、人が誰かを、あるいは何かを大切にしようとする思いであり、人と人とをつなぐ絆となるでしょう。そして「敬愛信」の「信」。それは、信じるということ。その心は、人が未来に向かって生きていこうとするときの、あるいは他者とのつながりを築こうとするときの意志となって、私たちに生きる勇気を与えてくれるのだと思います。本学の建学の精神である「敬愛信」の理念を皆さんがそれぞれに感じ取り、大切にしてほしいと願っています。
入学生の皆さんに最後にお伝えしたいことは、これから始まる大学での学びを学生として実践していくためのアドバイスです。私自身の失敗や成功の経験、そしてこれまでの大学教師としての経験から得られた学生生活を成功させるための心構えとして聞いてください。
まず大切なのは、自分自身をきちんとマネジメントすることです。皆さんは生徒から学生になりました。生徒としての自分ではなく、学生としての自分になったということは、生活面においても、学修面においても、自分を自分で管理していくということです。学生生活という長いレースを卒業というゴールに向かって走り抜くには、精神的にも肉体的にも、健康でベストな状態でいなければなりません。自分の生活のあり方をしっかりと自分でマネジメントすることが、学生生活を成功させるためには、とても大切であることを忘れないでください。
次に大切なことは、やってみること。挑戦することです。授業や実習の中で、あるいは課外活動などの中で、さまざまなことを積極的にやってみてください。新たな世界が見えてきます。難しくて自分にはできない、と思うこともあるでしょう。でも、ありのままの自分を信じてチャレンジしてみましょう。
アドバイスの三つめとして、良い友達を持つことの大切さを強調しておきたいと思います。本学は、とても温かい雰囲気の大学です。教職員が皆さんの学生生活をきめ細かくサポートしています。その中で、皆さんは安心してのびのびと学ぶことができると思います。しかし、学生生活のすべてが順風満帆というわけにはいかないかもしれません。何かに悩んだ時、信頼できる友人は、心強い支えとなるはずです。ともに喜び、ともに支え合えるような、良い友達を持つことができるよう心掛けてください。
結びに、入学生のすべてのみなさんが、将来への思いを胸に、これからの学生生活の道のりを一歩ずつ元気に歩まれることを祈念して、式辞とします。
令和7年4月7日 東北文教大学 東北文教大学短期大学部 学長 須賀一好