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50 藤四郎さんに雷火が入る

 明治三年のある夏のことであった。その日の朝はむし暑かった。朝来から飯豊山山辺から雷雲があらわれて鳴る。十時頃からすざましい大雷雨となった。そのとき露藤の藤四郎さん宅では、にわか雨のこととて西戸口は開いておったが、閉めるのを忘れておった。丁度藤四郎さんの裏の木に、折りから頭大の雷火、西戸口から入ると、みる間にコロコロと家へ入って来た。あれよあれよという間に座敷をコロコロと廻ってまた西戸口から出て行った。むかしから、雷雨の時は戸をしめるものだという。もしこの侭にしておくと火の玉のために火事になるといわれている。
(露藤)
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