14 手紙 

 まいど、貝生にカンゴという人いたったと。そんでその人はオカタ貰うことになって、何時の何日御祝儀する。その祝儀の便りをやる、丁度隣さ石切り商売している人がいたったと。そいつさも言付けして、一緒に来て呉(け)ろという手紙やったと。そんで昔の人なもんだから、細(こま)こくなど書かんねもんだから、カンゴという人の親がこう書いたと。
〈カンゴ、祝(よわ)いにつき、石屋(いしや)を呼んで来てくれ〉
 そしたらば、それをもらった人が、
「ははァ、カンゴが弱くて、死ぬか生きっかなんだな。こりゃ。んだから、すぐに医者まで頼んでつれて来てけろと言うごんだな」
 と、判断したと。そして医者つれて来たと。んだから訳のわかんねこと書くもんでないけどなァ。
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