2 篩(ふるい)借り

 むかし、じさまとばさまいたったと。庭掃きしったら、豆落ちてたけと。その豆拾って、カンコンと炒ったところァ、臼さ入っで、はたいたと。黄粉(きなこ)はたきというものは、ドンと真直に搗いて、臼のふちさ一ぺん一ぺんぶっつけるのだと。そいつは黄粉が真中さ寄るためだと。そして杵さついたの、その辺さぶっさけないためにするんだと。そうして、トカエン・トカエンと搗いったと。
 そして、段々はたけたから、篩でふるかんなねと、ばばとこを、篩借りにやったと。そしたば、何処尋(た)ねても篩がなかったと。そして仕様なくて、
「褌は、まだ掛けたばりだもの、まだ汚なくないもんだもの、端(はじ)っこででもふるうんだ、じじ」
と、じじはばばに言わっでふるったと。一生懸命でふるったところァ、屁がボーッと出たったと。そうしたらば、黄粉は皆吹っとんで、餓鬼べらいっぱい遊んでいたったほでに、その黄粉、
  じじァ屁の実は うまいちゃ
  じじァ屁の実は うまいちゃ
 と、みななめたったと。どーびんと。
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