５８　どうもこうも

　まいど、どうもという人と、こうもという人いたったと。
　どっちも賢こくて、何でもしんべと思ったことされっかったと。そんで、ある時、
「どうも、俺と、手取り換えねがい」
「あまりええこで」
　と、二人で、スポーッと切って、こっちさ喰っ付けたと。ピターッと喰付く。そっちさ喰付けっど、ピターッと喰付く。さまざまそんなことして遊んでいたったと。そんでも、ある時、
「いやいや、こんなことばりしったって、つまんねがら、二人は一ぺんに首切ってしまって、そして、あんだは俺のに継いで呉(け)んべし、俺のは、あんだに継ぐから、そうしてみたらええんねが……」
「そいつは面白いがんべな」
「あまりええがんべな」
　そして二人一ぺんに首切ってしまったと。ところがどっちも死んでしまったもんだから、継ぎようも何もなくなってしまったと。んだから、なんぼ名人だって、さんねもんはさんねんだと。
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