13 ドンドンガラリンの化物

 むかし、夜さなっど、お蔵王さまに、
   ドンドンガラリンのドンガラリン
   ピンピンガラリンのピンガラリン
   トーヒャラット エイ
   ヒョーロット ドンドン
 と、毎晩鳴く化物いだったもんだから、恐っかなくて恐っかなくて、組寄合して退治に行ったと。そこさお上人さま(お行さま)がおったので、神おろししてもらって伺いを立てたら、
「あいつは煮立つ湯いっぱい持って行って、化物さぶっかけてしまうじと、一番易く退治される」
 と、教えらっじゃと。んで湯殿山神社のお行さまなもんだから、みんな本気して、お湯を五升甑(こしき)さ沸かして行ったと。やっぱり
   ドンドンガラリンのドンガラリン
   ピンピンガラリンのピンガラリン
   トーヒャラット エイ
   ヒョーロット ドンドン
 と始まった。その鳴音めがけて、お湯をありったけぶっかけた。そうしたところが、なして、こげな大きな茸だったんだけと。お湯かけらっで、縮んで小(ち)っちゃくなった茸一本だったと。とーびんと。
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