46 茶臼山

 ここはサネモリ公の茶臼山の一戦。蛤御門の変。御時間の見えますまで…。
 カリタカ公の軍勢と申せば、やぁやぁ、遠からん者は音にも聞け。近からん者は目にも見よ。
 侍大将はアンドンケスベエ、ケツカワクラベエ、クラカワシベエ。ベエのついたる若武者たち。そしてヘソシタ(ごおり)、ケムチャ村に陣取って、いざ宿敵ござんなれとの構え。
 一方サネモリ公の軍勢と問えば、ムラサキナスビのスケ、ヌカヅケ、シロイダイコンのスケ、アサヅケ、赤い人参のスケ、キリボシ。その他ヘビカミ軍、大よそ千二百匹ほど。サネモリ公とて同じこと。ヘソシタ郡のマタグラ谷、コカンの繁みに陣どった。カリタカ公に勝利の女神がほほえみますか、またサネモリ公の頭上に栄冠が輝きますやら、時は一刻一刻と迫ってくるのである。カリタカ公の進撃いちじるしく、大将同士の一騎討ちとなった。紫頭巾を着用し、青筋ばりの鎧を着用してふんぞり返ったカリタカ公、七尺有余の褌をサヤリと払いのけ、いざ一突きとサネモリ公めがけて突進した。サネモリ公心得たりと腰をひねって受けとめたり。どんぴんからりん、すっからりん。
>>天とひばり 目次へ