34 家賃とり

 むかしとんとんあったけど。
 親父と息子いだげんども、(なえ)ったて家賃払わなね。んだから今日はきっと大家さんが来っかもしんないから、
「ええか、おっつぁんが押入れの中さ隠っで寝でっから、大家さん来たら、不在だって言え、そうすっど大家さんが戻って行んから」
「はい」
 さっさと開けで、
「今日は、キン坊キン坊、おっつぁん、どさ行った」
「おっつぁん、不在だ」
「不在だなて、不在でないべな。んだてなぁ、キン坊、お前のおっつぁんがどさも出はって行がねな確かめて、来たんだぜ」
「んだても、不在だも」
「不在だなて、キン坊、不在の意味知ってたが、お前」「知ってだ」「どういう意味だ」
「押入れの中さ入って寝るごんだ」
 どんぴんからりん、すっからりん。
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