27 佐兵ばなし― 田植―

   藁仕事や草刈りなどの作業のときとか、木小屋での若衆の集まりのときに、
   中年の人から聞いたものが多い。

 佐兵ざぁ、田植して、人より早く上がって泣いているもんだっけ。
「なして、佐兵、泣いっだ」
 ていうたば、
「みな、右の手で植えで、(ウネが)曲っけんど、おれ、左手なもんだから、曲ら ねくて、くやしくて泣いっだ」
 て、泣いっだていうたど。
(佐沢・山田喜一)
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