26 佐兵ばなし― 酒の篭抜け―

 米沢さ行ぐのに、新しい桶さ、小便つめて行ったど。そうして途中の関所でと めらっじゃ。ほして、
「その桶、何だ」
「小便だ」
「ほだな新しい桶さ、小便つめるざぁない」
「ほんとに小便だ」
 ていだげんど、「どれ」ていうわけで、お役人がのんだ。やっばり小便だ。
 次の日、きたない桶さ、酒もって行って、
「何だ」
「酒だ」ていうたげんども、
「佐兵小便だべ、早くもって行げ」
 て、金もうけしたど。
(中和田・我妻栄一)
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