東北文教大学    
   
 2019年度 シラバス 人間科学部 子ども教育学科

生涯学習概論

開講年次:3・4年次
卒業:選択
開講時期:後期 授業形態:講義 授業回数:15 回 時間数:30 時間 単位:2 単位
安 藤 耕 己

■ 科目のねらい
この科目は、専門教育科目で修得した知識・技能を一層高め、教育・保育の現場で実際に応用できる能力の修得を目指し
て、専門発展科目の「地域社会の理解」に区分されており、選択科目として配置している。
■ 授業の概要
人間の生涯にわたる「学習」の営みが「生涯学習」である。欧米における生涯学習の理念の成立の過程、その日本への導
入の過程を理解した上で、主に日本における生涯学習に関わる施策・制度を理解する。
さらに、そこで指す「学習」の多義性や展開をふまえ、生涯学習社会を実現していくための現実的課題を理解する。
■ 達成目標・到達目標
@欧米における生涯学習論の成立の背景から展開、さらにはそれらの特徴に関して理解し、端的に説明できる。
A欧米における成人学習論の展開とその特徴及び課題について理解し、端的に説明できる。
B日本における生涯学習施策の展開とその実相に関する可能性と課題について理解し、端的に説明できる。
■ 単位認定の要件
上述の目標のうち、いずれか2つを十分に達成すること。
■ 単位の認定方法及び割合
期末レポート:70% 授業内提出物:30%
■ 授業計画

第1回  授業の進め方についての案内
  授業の進め方とテキストについて説明する。

第2回  生涯学習とは何か
  P.ラングランが1960年代半ばに整理し提起した「生涯教育」論が1980年代以降の「生涯学習」論に展開する
課程を理解する。

第3回  生涯学習の理念と方法(1)
  欧米の生涯学習論の展開に確認できる特徴とその意義を理解する。

第4回  生涯学習の理念と方法(2)
  成人学習論の特徴とその展開、それらが生涯学習論の展開においていかなるインパクトを持ち得たかを理解
する。

第5回  日本における生涯学習施策の展開
  1970年代に萌芽を見せ、1980年代以降に展開する日本の生涯学習施策の展開とその可能性及び課題について
理解する。

第6回  生涯学習の内容と方法(1)
  生涯学習で重要視される学習内容について、その構造と併せ理解する。

第7回  生涯学習の内容と方法(2)
  生涯学習で重要視される学習方法について、その理念を理解し、特に集団学習については、ワークショップ
の手法を経験し、理解を深める。

第8回  学校教育と生涯学習(1)
  生涯学習社会実現のための学校の位置づけと、学校を中心とした学齢児童・生徒支援の生涯学習支援のあり
方について理解する。

第9回  学校教育と生涯学習(2)
  学校支援を行う地域の組織・団体について、その活動実態と活動の発展可能性と課題とを理解する。

第10回  社会教育施設と生涯学習(1)
  生涯学習社会実現に寄与する社会教育施設および職員の機能とその実態について理解する。

第11回  社会教育施設と生涯学習(2)
  生涯学習社会実現に際しての、社会教育施設の持つ可能性と課題について、施設の管理運営の形態の変化等
も併せ、考察する。

第12回  学習成果の評価と資格化社会
  行政の社会教育事業および社会教育施設での事業評価の現状と課題、さらには個人の学習成果を評価する制
度の試論について紹介し、その可能性と課題とを考察する。

第13回  生涯学習とNPO
  生涯学習社会実現のために行政や教育機関との協働が期待される組織として、NPOが挙げられる。その行政
との協働の実態とそこにおける可能性と課題とを理解する。

第14回  生涯学習とまちづくり
  まちづくりそのものを生涯学習であるととらえ、対話型の学習を前提としたまちづくりが試みられている。
いくつかの事例を紹介し、その動きの理解を深める。

第15回  グローバリゼーションと生涯学習
  グローバル化にローカルな実践が絡め取られる中、新たな公共性の提案が住民の学習から提起されている。
まとめとしてこの状況の可能性と課題を考えてみたい。


■ 時間外学修
前回講義部分のテキストと配付資料を熟読し、ノートを使って理解した内容を整理し、わかりやすく口頭もしくは文章に
て説明できるようにしておくこと(目安時間:約4時間)
■ 課題に対するフィードバック
講義内容の理解を確認するため、毎時終了前にコメントペーパーに解答もしくはコメントを附させるものとするが、その
内容は次回講義の冒頭において解説するものとする。
■ 使用テキスト・教材
田中雅文・坂口緑・柴田彩千子・宮地孝宜『テキスト生涯学習 新訂版』学文社、2015年
■ 参考文献等
@小池源吾・手打明敏編著『生涯学習社会の構図』福村出版、2009年
A手打明敏・上田孝典編著『〈つながり〉の社会教育・生涯学習―持続可能な社会を支える学び―』東洋館出版社、
 2017年
■ 備考
■ 連絡先