東北文教大学    
   
 2019年度 シラバス 人間科学部 子ども教育学科

教育心理学

開講年次:3年次
卒業:選択  保育士:必修  小学校教:必修  幼稚園教:必修  認定心理:必修
開講時期:前期 授業形態:講義 授業回数:15 回 時間数:30 時間 単位:2 単位
松 田 浩 平

■ 科目のねらい
本科目は、保育・教育の目的や本質に関する知識とその指導法に関する科目であり、学校や社会で行われる教育活動にかかわる心理学的な背景を理解することを目的とする。特に発達心理学・学習心理学・人格心理学・教育測定・教育評価・生徒指導論などと関連が深い心理学の見地を引用して考察できることを目標とする。
■ 授業の概要
 教育心理学の諸問題や基礎知識を理解し、多様な視点から論理的に思考する能力を養成することを目的としている。授業で取り上げる主な内容は、人間の発達、学習、適応と不適応、教授法、教育評価のほかに、子どもや生徒の理解とその指導法等である。
 授業の中で、小テストや小レポートを課すことがある。小テストでは基礎的な知識、小レポートでは論理的な思考を評価する。
■ 達成目標・到達目標
教育心理学の問題点や専門用語を理解し説明できる
教育心理学の問題点について多様な視点から客観的に考察できる
教育心理学の立場から生徒の理解と評価を試みることができる
教育心理学の問題点を整理して論理的に考察できる
■ 単位認定の要件
教育心理学の問題点や専門用語を理解し説明でき、教育心理学の問題点について多様な視点から、客観的に先行研究やデータに基づいて考察できること。
■ 単位の認定方法及び割合
期末試験:80% 授業内提出物:10% 授業内試験:10%
■ 授業計画

第1回  教育心理学の課題
  教育心理学の意義と方法
教育心理学を構成する項目を理解するために、シラバスとテキストを参照し関連性を理解しておくこと

第2回  発達と教育(1)
  発達の原理と基礎知識・発達に関する心理学の理論・発達段階と発達課題
教科書を参考に、発達段階と発達課題について整理しておくこと

第3回  発達と教育(2)
  発達の要因と教育・発達の多様性と交互作用
教科書の該当箇所を予め読んでおくこと
エリクソンの発達段階と発達課題について危機とコミットメントの観点から考えておくこと

第4回  発達と教育(3)
  発達の段階と教育・発達段階と教育課程
教科書の該当箇所を予め読んでおくこと
教育課程の構成と?間の?理的発達の対応を整理しておくこと

第5回  学習の心理(1)
  新行動の獲得に関する基礎知識、環境と行動・経験と行動変容・学習の基礎知識
教科書の該当箇所を予め読んでおくこと
人間が新しい行動を身につけるためには何が必要か、算数の理解、自転車の乗り方について、自分を振り返っておくこと

第6回  学習の心理(2)
  学習理論と行動形成のメカニズム
学習のメカニズム・古典的条件づけ・オペラント条件づけ・認知の発達
犬に「お手」を覚えさせるにはどうすれば良いか考えてみること
教科書の該当箇所を予め読んでおくこと、授業後の配付資料を通読し復習するとよい

第7回  学習の心理(3)
  個性と個人差・個人内差と個人間差・感情と動機づけ・個性と指導法
個性と個人差とは何か、人格の発達の観点から参考図書を引用して考えてみること

第8回  人格と適応(1)
  性格に関する諸理論と環境適応
人間の遺伝的特徴による差異や機能とは何か、それが日常の生活にどのようにかかわっているか考えておくこと

第9回  人格と適応(2)
  性格の類型論・性格の特性論・性格の相互作用論
気質、性格、人格(パーソナリティー)が役割とどのようにかかわるか考えておくこと
また、自分は場面によって、どのように仮面(ペルソナ)を使い分けているか内省してみるとよい

第10回  教育評価(1)
  教育評価の基礎知識・教育評価で用いる基本的な統計量・相対評価と絶対評価
定量的評価と定性的評価についてあらかじめ調べておくと講義内容の理解につながる
また、絶対評価と相対評価について、その得失を比較してみよ

第11回  教育評価(2)
  教育評価の目的と方法・基準的評価・選抜的評価・形成的評価
教科書の該当箇所を予め読んでおき、運転免許の試験、大学入試(一般入試やセンター試験)、授業実施調査のための学力検査について実施・出題傾向と実施法について下調べをしておくこと。

第12回  教授学習法
  教授学習法と学習指導の理解・コンピュータと教育
教授と学修の相互採用について予め教科書を読んでおくこと
CBT, CAIについてインターネットなどで検索して、下調べをしておくとわかりやすい

第13回  学級集団と生徒指導
  学級集団の特性・生徒指導の基本的理解・個別指導と集団指導児童生徒の特性差や個性に基づく指導法・学力と知能
個性と個人差をどのように教師はとらえるべきか、自分の中学校・高校時代を振り返って考えておくこと

第14回  障害児の理解と教育
  障害児の基礎知識とその指導法・性同一性障害の理解
教科書の該当箇所を予め読んでおき、コンタクトレンズを使?している者が、眼鏡やコンタクトレンズのない社会に住むとどうなるか考えてみよ

第15回  教師の特性と問題
  教師の職務的特性・教師のキャリア発達
授業全般を振り返って、教師に求められる能力と、教師が教育場面で発揮しなければならないペルソナについて、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、大学等でどのように異なるかを考えておくこと

第16回  まとめと試験
  試験と解説


■ 時間外学修
大学の講義における教科書は、単に学修するべきキーワードや項目を羅列した物ではない。専門的な出版物であり、この授業を受講する学生は、予め読んでおくべき文献として指定している。そこで、教科書を読むだけでわかることまでは授業内で取り上げないこともある。授業計画と教科書の内容を照合して、各回の授業内容について予習をしておくこと。また授業後には授業内容を整理すること。講義科目であるので、毎週当たり2時間の予習と2時間の復習を行うことを前提に授業を進める。
■ 課題に対するフィードバック
提出された課題等については授業内で講評を行なう。
■ 使用テキスト・教材
「新 発達と教育の心理学」, 藤田主一・齋藤雅英・宇部弘子・堀洋元・ほか, 2013, 福村出版, ISBN: 978-4571220517
■ 参考文献等
「学校で役立つ教育心理学」, 谷口 篤・田村隆宏 編著, 2011, 八千代出版, ISBN: 978-4842915555
■ 備考
教科書は必携とします。参考文献は必要に応じて参照します。参考文献は教室外学修の資料として用いますが、これから教職に就く人が職場でも参考にできるよう選定しています。幼児から児童までの教育心理学は、発達心理学との関わりも強く、参考文献も購読することを強く勧めます。
また、ただ単に教育心理学に関する事項を覚えて理解するのではなく、批判的な見地からの事実と照合した考察もできるよう学修を進めることを希望します。
■ 連絡先
東北文教大学 3号館 33研究室 jetta[at]g-tbunkyo.jp [at]を@に変更してください。