20 吉  相

 商人している、ある一軒の旦那は、
「昨年損して、今年はどうだかな」
 と、外さ出はってお空を眺めて、顔洗うと思ったら、鳥は飛んできて、糞(かえし)、頭さひっかけらっだ。
 これもがっかりして、
「いやいや、昨年もあの通り、朝げからこんなことになった」
 というもんで、その旦那もがっかりして話したところが、おかた、
「あらら、吉相、ええことなっし、昨年の損もとりかえし、ええがったことなぁ」
 といわっで、それからもうけたど。
 むかしむっかえって 話ははじけて
 昼間むかし語っど 梁の上のねずみに小便ひっかけられっど
 そして
 その小便
 まなぐさ入っど
 めんめんめっこになっど
 そうすっど
 さっぱり目が見えなくなっど。
 んだから
 昼間むかし語りざぁ
 するもんでないけど
 どーびんと。

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