13 和尚は鯨

 お寺が、あんまり精力ありすぎだったか何っだかで、とにかく、「嘘こくど鬼に(べろ)抜かれる」だの、「因果応報」だのて、娑婆にいっどき、悪れごどしたときは地獄さ行ぐだの何だのて、んだからこんどは地獄さ行かねようにするにゃ、何もあげろ、かにも上げろていうたって。
 ところが、ある人、
「お寺さま死ぬど、鯨になる」
 ていう人いだんだど。
「ほう、なして鯨になる」
 ていうたれば、
「お寺さまざぁ、みんなから集めて食っているんだ。んだから、鯨ざぁ一人に食れるもんでない、みんなから食れるもんだから、結局、ほのお寺さまざぁ、死ぬと鯨になって、みんなに分けて食れんなだぁ」
 お寺さま、〈因果応報〉ていうたから、
「そんなもんだべぇ」
 て言(や)っで、ほれからお寺さまもはぁ、あんまり横暴にしねがったてだな。
 どんぴんからりん、すっからりん。
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