26 和尚と小僧―小僧殺し―

 サルナシの実の砂糖漬けしったら、小僧食いだいげんど絶対に食せらんねてい うから、何だていうたら、
「こいつぁ小僧殺しというもんだ」
 そして、
「こいつ小僧食うど死ぬから小僧食(か)んねもんだ」
 て言うてだ。と、和尚さまの留守に、一番大切にしった花瓶思い切って割って そしてそいつツルリ平らげて、そして泣いっだ。
「なんで泣いっだ」
 ていうたところぁ、
「和尚さまの大事な花瓶割ったから、申し訳ないから、死のうと思って小僧殺し 食ったげんど、まだ死なんね」
 て言うたど。
(宮下 昇)
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