5 八谷の金掘り(伝説)

 むかし、八谷で金を掘ったとき、とってもええどこ見つけだ。そんで喜こんだ 連中は米沢から芸者四人を招ばって、酒盛りすることにした。その芸者は馬で来 たそうだ。
 そして山に入ったところが、むかし、神原の下の紙漉 (かみすき) という部落のところをず うっと山にのぼるとき、芸者がのっていた馬が、何かたまげて立ち上がったので、 馬からその芸者が転げ落ちた。足でも痛くしたか、腰でも打ったか、その芸者は そこから帰ってしまったので、その坂を、その芸者の名前をとって、「ホダシ坂」 と呼んでいる。
 後の三人の芸者は、鉱山まで行って酒盛りした。その時に、人夫の一人が小用 達した孔から外さ出たところが、向いの山できれいな女が手招きしている。
「何だか、向いの山に女の人が立ってで、手招きしてるから、みんな出てみろ」
 て、音立てて中の人に言っているうちに、その山が崩っで、生き埋めになって しまったそうだ。その時に早く出て来た人だけ助かったんだど。芸者三人は生き 埋めになったので、沢の名前に「クナイ」「サンカイ」「ヤイチロウ」の名が残っ ている。
 その向いの山の女は山の神で、早く出ろと教えてくれたんだという。
 その上に、「ドウス沢」という沢がある。癩病患者は金神だといって、そこに埋 めたもんだという。そうすると金が出るというたそうだ。また鉱山というのは七 つの峰を越して行くと栄えるというので、田沢に降りないで、簗沢の東に出るよ うな道を歩いて、鉱石を出したそうだ。簗沢東に「トコヤ」という地名がある。 それは人夫の中に髪結いがいたのでそう名付いたそうだ。
>>米沢市田沢の昔話と伝説  付 米沢市田沢の昔話と伝説 目次へ