2 不洞沢(伝説) 

 八谷のちょうどかげに、不洞沢という沢がある。そこでお不動さまが生まっだ という。そこの奥に胎内くぐりというところがあり、その下にお釜という滝があっ て、流れて来た材木も入れば、石も流れてきて、みな入るっだが水の力ですっか り掃けて、いつでもそこはお釜になってる。そのお釜がお不動さまの産湯に使っ たところである。またそのお湯の加減を見たということから、その脇の沢を、「カ ゲン」と名付けた。そして何才の時のことか、お不動さまは峯越しにずっと越え て来た。ところがお不動さまの通ったところの木が何だかおかしい。そう思って 見たところが、誰が火焚いたわけでもないのに、みな木の枝からずうっと焼けて 枯れてあった。それはお不動さまが、火炎不動だったからだという。
 そうして、この大荒沢山にきたわけだ。東向きの滝があったもんだから、そこ にこもったというのが、大荒沢山の不動さまのはじまりということだ。
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