42 お葉山

 お葉山には、おみよという人が塩井に縁があって塩井さ来たが、その人が機織 りしった。あそこに、たまたま薪拾いに行ったそうだ。そしたら白蛇がとぐろを 巻いていたど。そいつを見たら、さわさわ、さわさわてなったていうのだな。太 い白蛇な。おみよという人は蛇たんと嫌いではなかったどな。んだげんど、さわ さわていうので帰ってきた。そしたら、こんど、本家さお湯さ入りに行った。そ の晩に限って礼釈もしないで、わらわらお湯さ入った。そうすっど親父来ったも んだから、
「今、これから山さ行かんなねから、やきめし握らんなね」
 て、きかない。
「これから山さぁ、なんだ」「いや、迎えにきった。とてもええ男、透きとおるよ うなええ男迎えに来ったから」ていう。その男は高橋さんのクルミの木の下さ立っ てたていうんだな。親父はそんなことさんねというんで、押えっだ。そしてその 晩終った。
 こんどはノリキさ行ってきいたら、その白蛇が出てきて、
「人に見られる姿でないどこを見らっじゃから、この人をもらって行かんなね。 人身御供にもらって行かんなね」
 ていうて、やっとあやまって、どうにか落付けたげんども、機織りに行ってみっ ど、機のどこさ、ゾクランと蛇がぶら下がっている。そいつがうんと気持ええん だど。
(色摩清見)
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