39　中田の石芋

　弘法大師が通ったときに、娘さんが芋洗いしておったど。んで、
「その芋一つ、ごちそうしてくれないか」
　と、娘にたのんだら、
「芋などあげらんね」て、いたずら語って、「こいつぁ石芋だも、食んねなだ」
　と、こういうたていうんだな。その娘がよ。「ああ、石芋では食んねごで」てい うて、大師さまはそのまま行ってしまったど。
　それから、こんど家さ行ってその芋をゆでて食べようとしたが、石でわかんね。 なんぼう煮ても煮えないていうんだ。ガチガチてな。それから石芋になったど。
　中田では、それを神おろしして、みんなであやまって、今では作れるようになっ たど。
（平田幸一）
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