3 オタタカ鳥

 仲のええ兄弟いだったど。
 弟の方は稼ぐので、山芋掘って来ては、煮て、兄の方さええどこばり食せて、 自分はアマクビばり食って、毎日食せっだげんど、兄は根性悪れくて、
「おれにさえ、このようなええどこ食せるな、自分がなんぼうまいとこ食ってた んだか」
 どて、殺してみたって。殺して胃の中さいてみたら、アマクビばり食っていたっ たど。神のいましめで、
「お前のような根性の悪れ者は、このような心のやさしい舎弟を殺すような者は、 オタタカ鳥になってしまえ」
 て言わっだってよ。そして、
「お前のようなものは、八千八声鳴かねうちは、 餌(もの)一口も食べらせらんねから」
 て言われて、
   オタタカ鳥オタタカ鳥
   オトト 恋し
 て鳴いたもんだと。
 山さ行ぐど、柿の木の梢などに蛙 (びっき) などささってる、それはモズがオタタカ鳥ば 可哀そうだと思って餌をさしていてくれるんだど。
(高橋)
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