4 一休和尚

 一休和尚ざぁ、気の長い和尚でござっ たったどな。そして気の長くて、世の中 広く長く、小さいときから、気の広いも んだから、
「これは和尚にしてくれた方がええがん べなぁ」
 と、親たちから、自分も和尚で世の中 渡ってみんべと、和尚でええと、いよい よ髪をおろして呉 (く) れんべと思って剃刀ど こさ手かけたそうだ。そしたら、「待って」 といわっだから、ちょえっと髪を切んな いで待ちっだところが、
 〝路地よりむじろに返える一休み〟
 といわっで、ちょっとは切らんねぐ なったったって。
 この人は「雨降らば降れ、風吹かば吹 け」で、世の中面白く渡った人だったど。 また、
  つまらぬと思うは小さな智恵袋
 と。んだから、気広くさえも持つと、 面白く世の中渡られるというたもんだど。
  朝夕の飯 (めし) さえこわし柔かさ
   思うままには行かぬ 世の中
 ともいうたもんだど。
(海老名ちゃう)
>>牛方と山姥(四)目次へ