42 我慢くらべ

 賭けごとみたいなことしたとき、負け らんねから、
「大便、あそこさ行くまで我慢する」
「おれぁ、ほんじゃまず、何か考えて、 生きものでも背負うべ」
 と、賭けごとした。
 そうすっじど、背中でモソモソモソと、 背負ってはいられず。もう一人は、まず 大便の気、いっそうで歩くったって、
「いや、大便、あんどきああして、こう いう風にしておくとええがった」
 とにかく堪らんねくて、坂道を二日二 晩歩き通して我慢して、そうしてある坂 さ登って、岩の上さ登んべと思ったとこ ろが、その大便できたど。そしたば、そ の生きもの背負ってた人が、手前でとに かく生きものなもんだから、かっちゃ がったりして、背負っていらんねくて、 その手前で落したど。またその大便はあ んまり力を入れて、我慢したもんだから、 石になって転んだど。
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