39 鬼の面

 旦那衆のええどこさ生まっで、わがま まな娘いだったど。
 近所でもししゃまし(もてあます)て いたうちに、そういう器量ええとこから、 手紙はどっからでも、山ほど来る。こん どぁおれぁこういう風に好かれっから、 鬼の面でもかぶって見たらば、魂消んべ なぁ、という心から、鬼の面かぶっど、 心は鬼になるからと、蔵の二階さ行って、 そしてかぶって見たど。鬼になったど。
「こりゃ、おれのどこさ、オカタになっ て呉(く)ろ、会わせて呉(く)ろなて、いまいな」
 そうして騒いでみんべという心から。
 それで剥(はが) すべと思うと、とにかく剥(はが)ん ねくて、大江山に洞穴あるそうだから、 ここにいらんねと思って、走ってみたと ころが、早く走れる。木でも草でも何で もこぎ分けて行かれてはぁ、こりゃ鬼だ と思っているうちに、いっぱい子分が集 まって来て、
「子分にして呉(く)ろ、子分にして呉(く)ろ」と。
そして丹波の国荒すから、頼光さまが 命令で、殺さっだど。
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