28 おのこの島

 二人の神さまはおのこの島というとこ さ、御殿造って、あまりに小さい島だか ら、いま少し大きくしたいなぁと思って、 御殿建てて、ある時、山さ登って見渡し たところぁ、出雲の国などという国は細 くて帯のような国だったそうだ。んで、 そこさ、
「百姓方も、こんでは暮すにひどがんべ」
 と思って眺めたところぁ、向うのほの ぼのと見えるな、兎の出鼻というとこ だったそうだ。その島、それを引張って 来て、この出雲さひっつけたらば、大変 にええがんべと思って百姓方を皆寄せて 話して、そこの出鼻を切って引張って来 て、
「山こい、早くこい」
 と、皆引張らせて、出雲さ引付けてか ら、出雲は大きくなったど。
 おのこの島は今の大八洲になったそう だ。
>>続 牛方の山姥-海老名ちゃう昔話 第二集- 目次へ