38 かもしかと烏の亀の子

 かもしかに烏に亀の子がいて、かもし かが狩人に見つけらっで、罠 (わ) に掛ったど。
 そうすっじど、なじょかして助けらん なねと思って、烏ぁ行って、それをチョ クチョクとつついて、取って放したど。 そうすっじど、逃げたというもんで、狩 人は追かけたど。道をずうっと、烏が先 になって教えて、そうしているうちに、 亀の子はのたりのたりと来て、
「あまり、いつまでも烏ぁ来ないし、何 としったんだか」
 と行ったの、そいつ見つけて、
「この畜生、こいつを晩げのお菜 (かず) にすん べ」
 と思って、狩人は抑えて、晩げの料理 にすんべと思ったど。
 そうすっじど、そいつを聞きつけて、 かもしかは跛 (び) っこの真似して、ピコンピ コンピコンピコンと行ったど。狩人は、 今度こそ、かもしかを抑えてくれんべと 思ったど。そして段々に広 (ひろ) さかって、 行ってるうちに、また烏・亀の子を助け て、家さ帰って、とうとうかもしか獲り ぱぐったど。みんな仲よくさえもすっじ ど、助かるという話。
海老名ちゃう
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