24 養老の滝 

 あるところに、親孝行な子どもはいて、 そいつの家は貧しくて、酒好きな親だけ ども、酒も上げらんねようだげんども、 何とかしてこの親に酒を進ぜたいもんだ と思って、毎日山さ行って柴刈りしては、 町さ下がって、その金で酒買って来て、 親父に上げっじど、その親は喜んで、
「いや、これは美味い」
 と、にこにこと飲むと、この姿見たく て、先ず毎日ヒョウタンさげて山さ行っ て帰りにゃその金で酒屋は寄って酒買っ て来て進ぜたもんだど。
 ある時、水飲みたくて滝あっどさ行っ て、飲んでみたところぁ、酒だごんだじ もな。そうすっじど、
「これは酒のようだ。もう一口飲んでみ んべ」
 と思ってみっど、やっぱり酒だど。そ いつをヒョウタンさつめて、
「俺は酒だと思うげんども、親は飲んで みっじどどうだか」
 と思って、まずヒョウタンさ、たっぷ りもっ来て、進ぜたらば、
「いやいや、美味い酒だ。これは飲んだ ことのない美味い酒だ。甘露甘露」
 と言うて上がったど。そうすっじど、 また毎日毎日滝から汲んで行くと、
「本当にうまい、うまい」
 と上がっかったど。
 その話は隣から隣、村から村と伝わっ て来て、
「それはええことだから、おらも樽でも 持って行って、いっぱい詰めて来んべ」
 と、どんどんと人は滝さ行って、水を 汲んで家さ来てみっじど、唯の水で、酒 でないごんだずも。その親孝行な子ども が行って飲んでみっじど、酒だ。そいつ は神さま、親孝行なもんだから、神さま が酒を下さったのだったど。んだから、 親孝行というものは、神さまでも何でも 見ておくやるから、親孝行しなくてはな んねえ。
海老名ちゃう
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