17 こぶとり 

 むかし、こぶのじいさんが山さ行って、 雨に降らっで、空洞 (がら) の木さ入って、雨晴 らすべど思っているうちに、夜になった もんだから、そこで夜明 (よあか) すべと思ったと ころぁ、そこさいろいろな鬼がいっぱい 来て、じんじゃん騒ぎしているのを、そ のおじいさんが歌も踊りも好きなもんだ から、出はんねでいらんねくて、出はっ たど。
 そして踊りおどったりしったところぁ、 大変にみんなに喜こばっで、そら酒飲め、 そら何だと、こぶ喰付けっだの、また来 る時、そのこぶとってやっから、本当に 来ることと言わっで、こぶとってもらっ た。そうすっじど、家さ帰って来て、
「いや、よかった、よかった。こういう ことあった」
 と、隣のこぶじいさんとこさ、教えた ところぁ、そのじいさんもうらやましく て、行ったところが、木あって、やっぱ し空洞 (ほら) あったど。そこさ入っていたとこ ろぁ、また鬼どら来たど。
「まず、じいさんが出てくんべな」
 と言うところさ、じいさん出はって 行って、そんでも下手で、とにかく歌も 踊りも下手だったど。
「なんだ、この間のじいさんと違ったか ら、ニセ者だから、このこぶをひっつけ てやんなね」
 と、両方さこぶ引っつけらっで、帰っ て来たから、人真似してなんねという話。
海老名ちゃう
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