15 和尚と小僧

 ある寺の小僧ぁ、和尚さまの代りに、法事に行って、とにかく、一丁前のふりしたげんど、お経上げらんね。和尚さまの代理なてさんねげんども、気ぁきいた小僧っ子だったべ。
「行って、終(おや)して来る」
 て行ったど。んだげんど、お経さっぱり知(し)しゃねんだど。ちいとばり知ってたのも忘っで、前さ上(あが)ったお膳見たど。そいつ、まずお経のふりして数えて来て、終して来たど。
  一に納豆 二に牛蒡
  三ンがり大根 四ミ豆腐
  五ろいし豆に 六じんだん
  七に味噌 八ワラビ
  九かんぴょう 十(とお)茄子
 十種類出さっだんだど。そいつ、ポック・ポック、ポック・ポックと数えたど。
「一に納豆、二に牛蒡、三ンがり大根、四ミ豆腐、五ろいし豆に、六じんだん、カェーン。七に味…」
 なて、終したごではぁ。
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