28 糠福米福

 むかしあったけど。
 糠福ざぁ先妻の子どもで、米福ざぁ後家おっかの子どもだもな。そして、何でも糠福は、何させてもするし、米福は何でもしねもんだど、ズフタレ者で。
 ある日、栗拾いに糠福の袋さ孔あけてあずけたど。なんもとってもいっぱいなんねと思ったら、袋に孔あいっだけど、糠福の袋に。米福には、ええ袋あずけたど。
 米福は袋一つになったから、先さ行ぐて、
「おれぁ、一つになんねから、行かんね。なんぼ拾っても一つになんね」
 そしたら、やきめしもらって行ったげんど、米福と糠福、糠福さ、糠ばっかりのやきめし握って呉っじゃなよ、その継母(ままかか)。米福さはきれいな米のやきめし握って呉っじゃなよ。
 そして、糠福は、自分な食んねもんだから、川さ捨てたもんだけな。そうすっど、その糠福投げたなやきめしが、大蛇に変って、川から出てきたんだど。
 そしたら、自分が腹へったんだし、飯食ねもんだから、栗の木の下さ眠ってしまったんだけど。そしてその大蛇が打出の小槌呉っじゃんだど。眠ってた傍さ、糠福の。糠福の本当の母親が大蛇に化けて出てきたんだべ、川からよ。
「これを振っずど、何でもお前の思いのままのもの出て来っから、振れ」
 て、目覚ましたら、そこに打出の小槌ある。それを家さ持ってきて、袋出して栗をみな出して持ってきたど。しかし不思議に思って、何をおら家の糠福は持っているんだかて思ったのよ。
 そしてこんど、お祭りさ行ぐどこだけどな。そうすっど米福はええ着物きっけんども、糠福は着物持たねのよ。
「お祭りに行ってもええげんども、粉はたいてから来い」
 て、糠福言(や)っで、娘とおっかばっかり先に行ったごで。ほしたら、
「糠福、早くお祭り見に歩えべ」
 ていうたら、
「おれ、この粉はたかねど行かんね。粉はいたて行んから」
 て。そしたらその友だち、みんな粉はたき助(す)けたごんだけな。それから打出の小槌から着物いっぱい出してよ、友だちさも呉で、そのお祭りさ行ったごどよ。
 そしてきれいに化粧して、お祭りに行ったときに、おっか魂消たなだな。
「なんで、おら家の糠福、あんなきれいな着物、どっから持ってきたべ」
 打出の小槌かくして、かまわず出すなよ。そしてええ娘なもんだから、こんどぁ、糠福はすばらしいええどこさ、先に嫁にもらわっじゃもんだど。そして打出の小槌からセ笥から、長持いっぱい出して嫁に行ったんだけど。
岡田さん
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