18 狐のはなし

 山口駒吉さんが、毛下野の高橋仁右衛門という家さ、親戚だから、御祝儀に招ばっで行って、お分けばツツコさ入っでもらって、酔えでぶらぶらて来たずも。
 したら、そのツツコのもの食だくて、化けではぁ、アクト(地名)の杉のどこまで来たら、
「角力とりすろ」
 ていうけど。「よし」ていうことで、ツツコそこさ置いて、二人で角力とりしたど。野郎こだけど。そしてその野郎こ負けらがしているうちに、ツツコ食(か)っでしまったど。
「ほんじゃ、ツツコないから、こいつ家さもって行げ」
 て、きりっと朴の葉さ包んだものもらって、そいつ持ってきたど。したら銭一銭と、塩引一(ひと)こっぱど、そこさ、今炊いたような飯ど、そいつもらって来たど。後で行ったら、狐の足あとあったど。
岡田さん
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