17 狐のはなし

 夜、魚あぶって飯食うべと思っていたら、ガサッガサッと、山から魚の匂い嗅(か)いで、降ちてきたてよ。
 そして近間まで来て止って、何かする気だったべげんども。
 そうすっどかまわず火焚いで、木の尻こさてだど。もんもん、もんもんと、よっぽど根まできたころ、
「来たか、畜生」
 ていうけぁ、そのもんもんていぶっていた木の尻、投(ぶ)ってやったら、木の棒杭(ぼっくい)さぶっつかて、火はパァーッとひろがったど。そしてどこさ逃げて行ったが、姿見えねぐなったけど。狐でもあったべ。
 また山に泊っていっど、パカンパカンて、木切る真似するのは、狸だど。
岡田さん
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