9 蛇まじない

 蛇、むかしゴウガの山というどこさ、昼眠したごんだど。そうしたら、蛇の敵はナメクジだて。ナメクジにぐるっと取り囲まっでいだずもの、目覚めたば。
「いや、これは困ったごんだ」
 と思っているうちに、ワラビ、ニョキニョキと出てきたことだけど、それ、ワラビって育ち早いもんだものなぁ、そのワラビ伝ってはぁ、蛇、ようやく逃げてあったど。んだから、蛇恐っかないと思ったら、
   蛇よ蛇、ゴウガの山に昼眠して
   ワラビの恩を忘れたか
 て、そう三度詠んで歩くもんだ、そう教えらっだけな。むかしとーびん。
 
〈話者 川崎みさを〉
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