2 オッテンタカ鳥

 むかしあったけど。兄と弟の兄弟いであったど。弟は働きものではぁ、一生懸命で働いて山さ行ったときなど、山藷掘ってきては、兄んにゃええどこ食せて、自分がシナクビの方ばり食ってであったど。そしてまたいつものより大きなな掘って来たども、兄、いながったずも、そんどき。んだども、兄んにゃのとこさ大きな残しておくべやと思って、ええどこ残して、自分はシナクビの方食っていたど。そして兄どっからか帰ってきて、「残しったぜ」て言うたば、それ食ってはぁ、あまりうまいもんだから、
「おれさ、こんなええどこ残して食せるくらいだら、自分がどんなうまいとこ食ったもんだ」
 て思って、殺したずもの。そして腹さいてみたば、ナシクビの悪いとこばっかり食ってであったど。そうしたば、こんどはぁ、神さまに鳥にさっでしまったど。そしてホトトギスという鳥にさっではぁ、八千八声鳴かねば餌もらわんねことになったど。そして、
   弟恋しや、オッテンタカ鳥 弟恋しや、オッテンタカ鳥
 て、口休める暇もないずなだもの。「オッテンタカ鳥、オッテンタカ鳥」て鳴かなねくて、そして八千八声ないたとき、木の枝さ蛙(びっき)のひっからびたようなもの一つぐらい引っかかっていっことある。おらだ山さ行くど、それがそのホトトギスの餌だなて、教えらっだもんだ。むかしとーびん。
 
〈話者 川崎みさを〉
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