5 蛇     聟

 あるところに、ええ娘いだど。そうしたところぁ、夜に、冷(つみ)たい体(なり)して、毎晩夜這いこきに来て、抱(だ)かる者ぁいた。ほうしたれば、
「なんで、われ(おまえさん)は青い顔面(つら)して、何だ」
 ていうたれば、「いや、いや…」て、教えない。
「教えろ、教えろ」
 ていうたらば、
「何だか、夜、毎晩げ、冷(つみ)たい体(なり)して抱かる、ええ男いた」
「さいつぁ、人でないんだぜそ」
 そうして、畳刺し針さ糸つけて、
「衣裳の褄おさえて、ジュプッとさしてやれ」
 どがて、そしてやったれば、蛇ぁ化げて来たなだったど。糸たどって行ってみたれば、うんうんうなっていだっけど。どーびんさんすけ。
(我妻)
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