16 怪火

 神原堰の上がり前の曲ったどこだったべ。疲(こわ)いから一休みしたわけよ。自転車ぴっぱって疲(こわ)いから…。
 秋さかだったそうだ。そこんどこさ、火ぁボォーッと二メートルぐらいの長さに燃えだっていうのよ。
「あらら、なえだこりゃ、あいつ何だ」
 て見たらば、火ぁボォボォと燃えているていうのよ。
「あらら、なんだら…」
 て、二人で見っだて。そして、しばらくしたらピタッと消えてしまったてよ。近くさ行って、本当に火燃えたんだか何だかと思って見たげんど、こげた跡もないがったど。
(藁科)
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