8 不動沢

 八谷の、ちょうどかげに不動沢という沢がある。そこでお不動さまが生まっだという。そこの奥に胎内くぐりというところがあり、その下にお釜という滝があって、流れてきた材木も入れば、石も流れてきて、みな入る。だが水の力ですっかり掃けて、いつでもそこはお釜になってる。そのお釜が不動さまの産湯に使ったところである。
 また、そのお湯の加減を見たということから、その脇の沢を「カゲン」と名付けた。そして何才の時のことか、お不動さまは峰越しにずっと越えてやってきた。ところがお不動さまの通ったところの木が何だかおかしい。そう思って見たところが、誰が火焚いたわけでないのに、みな木の枝からずうっと焼けて枯れてあった。それはお不動さまが、火炎不動だったからだという。
 そうして、この大荒沢山に来たわけだ。東向きの滝があったもんだから、そこにこもったというのが、大荒沢山の不動さまのはじまりということだ。
(関場亥之助)
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