47 食わず女房

 むがすむがす、あるところに、とってもけちんぼで、まず、おかたさも御飯食せっだくないほどのけちんぼいだんだけど。ほして、人が仲人すっど、
「御飯食ねで稼いで呉んのだら、いつでも貰う」
 ていうたって。
 ほうしたら、ほこさ、ある時、きれいな女来て、ほして、まず口なの、おちょぼ口で、御飯、横に入らね。タテぐらいしか入らねちっちゃこい口でだど。ほうして来て、働くは働くは、まずたまげるほど働ぐんだど。
 ほしたら、その若衆はよろごんで、
「いや、おら家のかあちゃんが、御飯食ねで働く」
 こうだ、ああだて、みんなさ自慢しったんだど。したらみんな言うたど。
「べらぼう、今どき、ほだな人間いるもんでない。何かの妖怪変化だぞ、気付けろよ」
 ていうたって。ほして稼ぎ行ったふりして、そおっと見たれば、何と、はいつぁ口裂け女で、耳まで口さけでで、居ねどき御飯なの一人して炊いで、ヤキミシなのストン、ストンと、一つまんま生き呑みするようなだけど。
 はいつ見たけぁ、恐くなって逃げだんだど。その若衆ぁ、どんどん逃げだれば、悪女の深なさけていうっだが、はいつぁ追っかけて来たんだど。どんどん、どんどん追ってきて、いや、なえったて逃げらんねはぁていうわけで、道傍の脇の草むらさ、ちょろちょろ入って行って、まず這って逃げて行ったんだど。したば、なぜか女が追って来ながったど。
「ふしぎなこともあるもんだなぁ」
 と思ったれば、菖蒲とヨモギ畑さ逃げたていうんだな。ほしたれば菖蒲とヨモギくさくて追って来らんねがったど。ちょうどその日が五月節句であったど。んだから五月節句は今でも菖蒲とヨモギをさすんだ、口裂け女来ねようにさすんだていうどこもあるけど。どんぴんからりん、すっからりん。
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