44 目あきとめぐら

 むがすむがす、天竺の国で、目あきとめぐらが馬さのって旅したんだど。
 ほしてあるどこさ泊ったれば、目くらが、
「ええ笞()けだ」
 てだど。「なして」ていうたれば、「馬がものすごく、言うこと聞く」て。
 ほうして、目あきが見たらば、ほいつ、マムシなんだけど。
 大陸ていうのは、日中、非常に温かいげんども、夜はほとんど零度近くなるもんだから、蛇なの、みな、棒みたいになるものよ。ところが目あきが教えたど。
「お前、はいつ、馬、ええあんばい走るて言うげんども、はいつはマムシだ」
 て。したらば、
「騙さんね。目あきが今まで、おれば騙してきたから、今度は騙さんね。こだえええ笞あるもんでない」
 ほだえしているうち、太陽出て温かくなたらば、くっつがっで毒廻るわけだ。
「だがら、あれほど、おれ、忠告したのに、なんで聞かんねがった」
 ていうことだど。どんぴんからりん、すっからりん。
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