25 鵜匠の化け物

 むかしあるところに、古寺があった。そこさ夜な夜な幽霊が出る。
 あんまり恐いもんだから、ほこは久しく無住になってだ。んで、そこさ旅のお坊さんが来て、まず、そこの村さ来て、一夜の宿を請うたら、こういうところに無住のお寺があるていうことを教えだ。
「んじゃ、そこさ泊ろうかな」
 ていうことで、そこさ泊ったれば、やっぱり、ほの幽霊が出た。
「はぁ、話のとおり、ゆうれいが出たな」
 て、ほの幽霊さお経となえながら追っかけて行ってみたれば、ずうっとどこへ行くべと思ったら、川原さ行った。
「はぁ、ここで消えでしまった」
 ていうわけで、ほしてほのお坊さんが村人に、
「この川原に、何か殺生があったどか何どか、ないがったが」
 ていうたらば、ずうっと昔、鵜匠が仲間とのいさかいで、ここで騙し討ちさっで、逝くなったんだ。んだからきっと浮かばれなくているんだべというわけで、
「ああ、そうか」
 ていうわけで、大々的にお経あげて供養してやったど。で、それからはその古寺さ化けものは出ねがったど。どんぴんからりん、すっからりん。
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