21 長渕の河童

 河童の頭の皿のどこを竹でポンと叩くと、いちころにまいるんだというたもんだ。木の棒や金の棒で叩くよりは、河童は竹の棒で叩くとええなだて、年寄りは言うてだもんだ。
「河童に追っかけられっどなんねから、竹の棒ついで行った」
 なていう話、よく聞いたもんだ。時たま胡瓜畑さ上がって胡瓜を食ってだど。して、胡瓜は非常に好きなんで、スシ屋などで胡瓜のこと「カッパ」ていうてる。ほっから来てるんだなんていう。
 楢下の下のどこに「長渕」というところある。河童がでてくっから、一人で行くなどか、淀みに河童がいて、夜な夜な出てきて、胡瓜畑にいだっけどか、馬洗い場も長渕にあったそうだ。
 その上に、車堰というとこあって、昔は水車があったとこだった。鉱山ができて、長渕が汚れてからは、車堰の方で水浴びするようになった。車堰の下の方に大堰というな、楢下と皆沢、藤沢、経塚、姥懐あたりで灌漑用水に使ったところで、水浴びしたりした。
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