5 ドンデンガラ

 ドンデンガラて、この辺でいう草ある。あれも場所によっては〈痛み止め〉に使った。んだから〈いたどり〉て、〈痛みどり〉から言うようになった。
 ところが、それは〈痛みどり〉でなくて、あるいは、木みたいに太っとくなっから、板取りて、板とれっから言うたんだべという人もある。
 いろいろ、そういう話あった。
 ところが、唐の国では、
「あいつは虎杖だていう。虎のツレンポだ」て言うた。今でもドンデンガラのことを〈虎杖〉て書くんだげんど、ほの、丁度、品種によっては虎のような、テンテンの模様のついたドンデンガラがある。はいつば見て、〈虎がツレンポにでも使ったんでないんだかなぁ〉ていうので、虎杖と書いて「イタドリ」て読ませたんだど。〈痛みどり〉ともいうし、〈板取り〉とも言うし、この辺では通称ドンデンガラて言うげんども、何か不気味な斑点あったり何かえすっから、はいつ見て、ぞっとして、どんでんがえりして戻ってきた。んだから〈ドンデンガラ〉ていうなだ、て、昔はほういう風に言うたもんだけど。どんぴんからりん、すっからりん。
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