4 蔵王権現と若衆

 むかしむかし、蔵王権現さまさ祈祷してもらいに行くために、若者だ、ほれ、七、八人して、ずうっと行ったれば、高湯街道で、七十才越えたような老人が杉の木、せっせど植えっだけって。
「なんだ、あのジサマ、七十才もなてがら、杉の木植えで、明日にもコロッと()ったら何もなんねぇべ」
 こういうわけで、ほれ、若衆だ、からがったんだど。
「じんつぁ、じんつぁ、今ごろから杉の木植えて、何なっどこだ」
 て()ったって。
 ところが、ほのじんつぁ、
「ああ、いや、実はな、おらえの家にも、ニシダ(お前たち)みだいなウスバカヤロベラ居たから、植えでで()んのだ」
 ていうたっけて。はいつ聞いで、登山に行った若者ぁ、
「なるほどなぁ」
 ていうわけで、二の句つげながったど。
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