(2)

 嫁の家さ行って、団子御馳走になったど。よっぽどうまいどて、その名前決し て忘れねべどて、団子・団子と帰る途中口置かねで来て.......、濠をまたぐとき、ひょっ とまたいで、
「ヤッコラサ」
 て、またいだので、こんどは「ヤンコラ・ヤンコラ」と来たど。そして、
「ヤンコラ拵えて呉(く)ろ、ヤンコラ拵えて呉ろ」
 て言うども、
「ヤンコラと言わっでも分んね、どんなもんだ」
   て言うたれば、
「ヤンコラよ、うまいヤンコラよ」
 て言うた。そのうちに鍋かける鍵、手さ持って手放して、バインと向うにやる と、花嫁の額さコブ出きたど。
「ああ、痛いごと、ほに。何とも言わねで、ヤンコロ拵えて、と言わっでも分ん ね。団子のようなコブ出きた」
「ああ、それよそれよ。その団子拵えて呉ろ」
 て言うたどな。
(高橋次男)
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