49 八方屋長者

 何年位前だったが、八方屋長者屋敷あったど。大した金持ちで殿さまみたいだったけど。その金、半分に分けで、あっちとこっちさ埋めて、与助という人とお藤という人、夫婦で下男下女だったそうだが、生き埋めして、金の番させだど。そして目印にみっぱづぎ植えておいたど。その、生き埋めにしたもんだから、しばらくは夜になっど二人で呼び合ってる声がしたもんだけど。あとになってから、お藤さ埋まってだ方掘ってみたら、カマスさ、ひっとず、小判出たけど。その八方屋というのは、八棟も倉のあった家であったど。
話者 我妻よう (米沢市古志田)
採集 梅津紀子
>>置賜のむかし 目次へ