44 狐に化かさっだ話

 あれはいつだったかなぁ、友だちと別れてから、一人で山道を歩いっだら、だんだん日暮れて、暗くなったもんだから、道がわかんなくなった。
「ずい分、暗くなってしまったなぁ」と思ってだら、急に道んどこが明るくなった。その道がとってもいい道に見えたから、「いい道できたなぁ」と思って、石の上さ腰かけて一服しったら、ガサガサと音して、一匹のけものが出てきて、パッと逃げてしまった。そしたらまた暗くなってしまった。あれはきっと狐だったんだなぁ。
話者 関場 (福島市庭坂)
採集 渡部美喜子
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