40 長い名の子

 むかし、「じょん」と名付けらっちゃ子どもいだど。みんなから「じょん、じょん」て馬鹿にされるもんだから、親たちもかわいそうに思って、二番目の子どもには、馬鹿にさんねように、
「へえとこ、へえとこ、へえがのこ、へめたにかめたにいってきや、てきすりごんぼう、すりごんぼう、あのやまこのやま、ああもうす、こうもうす、もうすもうしでもうしごの、ありまのべっとう、茶碗に茶杓子、きぎにのええすけ」
 と名付けたど。あんまり長いから、馬鹿にさんねでええなぁと思っていたらば、その子どもが井戸に落ちてしまったど。親たちは近所の人に助けてもらうべと、「へえとこ…」と言って廻ったげど、あんまり長いことかかったもんだから、とうとう溺れ死んでしまったど。
     (注 なお同話は、縮多江子によって米沢市長手で採集されている。)
話者 渡部富雄 (米沢市遠山)
採集 渡部美喜子
>>置賜のむかし 目次へ